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櫛とバナナ

最近の読書から。

 

『櫛挽道守』/木内昇著

時代小説好きの母激推しで読んだ一冊。著者のお名前、パッと見男性かと思いきや「のぼり」と読み、女性の方でした(中身を読めば女性だと分かりるけど)。

幕末の木曽山中に櫛職人の長女として生まれた主人公の一代記。結婚し、子供を産み、家庭を守るのが女性の役割だと考えられていた時代に、家族の反対や世間の目にひるむことなく自ら強く望んで父を継ぎ、櫛職人として切磋琢磨する主人公・登勢。不器用で実直な生きざまと、周囲の人間模様、その舞台となる木曽の美しく厳しい自然がものすごく丁寧に描かれていて、私はやたら登勢に感情移入してしまい、最後は電車の中で危うく落涙するところだった。自らが望んだ道を真摯に前進する登勢の姿は、”不惑”のくせして惑いまくりの私には眩しくてたまらなかったのであった。

 

『こんな夜更けにバナナかよ』/渡辺一史著

進行性筋ジストロフィーを患っている鹿野さんと、彼を24時間体制で支えるボランティアの人々との交流を描いたノンフィクション。

内容は重い。重いけど、鹿野さんも、周りのボランティアの人たちも、むちゃくちゃ人間くさくて、青春小説を読んでいるような爽やかさだった。

以前、鴻上尚史さんの本だったか、「日本は”他人に迷惑をかけないように”って言い過ぎ」という話を読んだことを思い出した。確かに、私もそう思って暮らしている。でも、何をするにも他人の介助(介助=迷惑というわけではもちろんないけれど)を必要とする鹿野さんの、非常に自己主張の強いバイタリティーと、それに反発したり喧嘩したりしながらも周りで支えるボランティアの人たちの、この豊かな人間関係はいったいなんだ。”人間丸出し”で生きてる姿に、衝撃と感動を受けた一冊。筆者の真摯な姿勢にも、とても好感が持てた。

 

【2017.07.15 Saturday 23:51】 author : moriyaan518
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【2017.11.23 Thursday 23:51】 author : スポンサードリンク
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